テッセイのエンジェル・リポート

株式会社JR東日本テクノハートTESSEI、通称「テッセイ」という会社を皆さんご存じでしょうか。新幹線の車両や駅構内の清掃を主な業務にしている会社です。新幹線に乗ったことのある方は、東京・上野駅で止まっている新幹線の車両内で赤いジャンパーを着て、手際よく座席カバーの交換や掃除をしている人たちを目にしたことがあるのではないでしょうか。

この会社で働く人たちは「お掃除の天使たち」と呼ばれ、世界最速と言われる「魅せる清掃」を提供しています。
日経ビジネス誌がこの集団を「最強のチーム」として取り上げる等メディアにも数多く紹介され、前米国カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー氏や米国運輸長官が来日した際にわざわざこのチームを視察する等世界中からも注目を集めています。

テッセイの車両清掃チームが評価される要因は、掃除のプロとしての仕事ぶりだけではなく、その礼儀正しい振る舞いにもあります。担当する列車が入線する際にはホームに一列に整列し、入ってくる列車に深々とお辞儀をして出迎えます。
降車するお客様1人1人へも「お疲れ様でした」と声を掛け、7分以内で清掃を終えるとホームへ整列、乗車待機しているお客さまへ「お待たせしました」と挨拶をし、再度一礼をして次の持ち場へ移動します。
シンプルですが、この行動一つ一つに心がこもっていることで多くの人がなんとも言えない清々しさを感じるのです。

テッセイの人々の心を揺さぶる仕事ぶりは、現場の自発的な取組みによって定着・徹底されています。
働いている人がお客さまのためになることを現場の目線から知恵やアイデアを生み出し、率先して実行できる企業風土、これこそがテッセイのすごいところではないでしょうか。

この企業風土を定着させるのに7年という長い歳月を費やしたとのことです。単なる清掃の下請会社から「おもてなしの会社」へ進化させるために様々な試行錯誤が行われました。その中でも注目するのは「エンジェル・リポート」といわれる取組みです。
会社理念である「さわやか・あんしん・あったか」をスタッフに実践してもらうために、現場リーダーが良い取組みの具体例を示し、それを実践したスタッフを褒める仕組みです。これにより現場でコツコツと頑張っている人や良い取組みをしている人を埋没させずに浮かび上がらせることでスタッフのやりがいにつながっていったのです。
平成22年度には全従業員の内約7割がエンジェル・リポートの対象者となり、その取組みや努力が認められ評価されています。

エンジェル・リポートはPCへの配信や職場の壁に貼られる等、誰でも見られるようになっているそうです。縁の下の力持ちでもちゃんと見ていてくれる人がいる。こんなにうれしいことはありませんね。

働いている人の満足度が高い企業は顧客満足度にも比例する顕著な例がご紹介したテッセイという会社です。商売はお客様が存在して初めて成り立ちます。サービス業に限らず全ての業種においてテッセイのような取組みは参考になるのではないでしょうか。
テッセイは日本人特有の細やかサービス精神を最大限表現している会社の1つだと思います。このような会社が注目され、また同様の方向性を持った会社が増えてくることで日本経済の沈滞した現状を打破できるものと信じています。

出典:あさ出版「新幹線お掃除の天使たち」遠藤 功著

千葉流山事務所 佐藤智成

 

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