「S-TRAIN」運行開始からみる鉄道業界の経営分析

2017年3月125日から「S-TRAIN」が運行を開始しました。
S-TRAIN」とは横浜高速鉄道・東京急行電鉄(東急)・東京地下鉄(東京メトロ)・西武鉄道4社の路線を走る新しい列車で、横浜・東京・埼玉方面を結びます。特徴的なのは有料座席指定列車であり、平日の通勤通学時、土休日のレジャー時に座れるという点です。

1950~1960年代、東急と西武は箱根や伊豆半島の観光開発で激しい勢力争いをした過去がある中、東急線を西武の列車が走るということは、昔は到底考えられなかったことだそうです。「S-TRAIN」の運行開始からは、壁を乗り越えていかないと鉄道会社も生き残れない時代が来ていることが分かります。今回はおおまかではありますが、鉄道業界の経営分析をしようと思います。

鉄道事業収入は分解すると以下のようになります。
    鉄道事業収入 = 人口 × 移動頻度 × 鉄道利用率 × 顧客単価

ここでいう「鉄道利用率」とは他の交通機関と比較した際の競争優位性です。「顧客単価」には旅客収入に加え、駅周辺での買い物による収入といった付加価値サービスによるものも含まれます。

上記式の内、「人口」は将来的に減少すると言われています。「移動頻度」は経済成長による増加、定年退職する人口増加に伴うレジャー移動の増加が予想される一方で、在宅勤務形態も増えており、将来的にはあまり変わらないと予想されます。

「鉄道利用率」ですが、例えば飛行機での移動と鉄道での移動では、前者は純粋な移動時間は短いものの、荷物検査等の時間が多くかかります。後者は同距離の移動時間が飛行機に比べて多くかかりますが、荷物検査等の時間はほぼ不要です。一般的には4時間を超えない短距離移動であれば、鉄道の方が利用者にとって利便性が高いと言われています。

こうしてみると鉄道会社にとって、「顧客単価」を上げることはいかに重要かということが分かります。昨今活発化している駅ビル開発や、「S-TRAIN」といった有料座席指定列車の運行開始も、従来の旅客収入だけでは限界があるため、非インフラ事業での付加価値サービスによる「顧客単価」の増加を狙いとしたものだと言えます。

今回は鉄道会社を例として挙げましたが、一般会社でも売上高を分解してみることで、経営改善すべき部分を的確に把握し、より効果的・効率的な対策を練ることができると思います。是非一度、売上高を分解し、分析されることをおすすめします。

出典:日本実業出版社「企業分析力養成講座」著:山口 揚平

渋谷事務所 中田絵莉子

 


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