2020年4月1日施行 改正民法

 消費者保護に重点を置いた「民法の一部を改正する法律」及び「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が2017年5月26日参院本会議で賛成多数で可決、成立しました(2017年6月2日公布)。改正は200項目にのぼり、1896(明治29)年の制定以来、約120年ぶりに抜本改正されました。

<改正のポイントは次の5点です。>
消滅時効 原則として「権利を行使できると知った時から5年」に統一
法定利率 年5%から年3%に引き下げ、市中の金利動向に合わせて変動する制度を導入
連帯保証人 事業用の融資について、第三者が保証人になる場合は、公証人による事前の意志確認が必要
敷金の返還 敷金返還のルールを新設。自然劣化等、通常使用による修繕費は貸主が負担
約款 規定を新設。消費者に一方的に不利な条項は無効

 5点について順番にみていきましょう。

① 消滅時効
現行民法の消滅時効は、飲食代や宿泊代は1年、弁護士の報酬は2年、医師の診療報酬は3年と業種などにより異なっています。これを原則5年に統一します。
 
② 法定利率
法定利率は、契約で取り決めがない場合に適用される利率です。交通事故などで亡くなった人が将来得たであろう「逸失利益」の計算にも使われます。年5%から3%に引き下げることにより「逸失利益」の額は増える見込みです。
 
連帯保証人
個人が中小企業の連帯保証人になるためには、原則的に公証人が連帯保証人に直接面会し、意思確認が必要となります。連帯保証人となるリスクを知らずに連帯保証人なり生活が破綻するといった悲劇を避けるためです。
 
④ 敷金の返還
敷金からは借主が壊した箇所の修繕費が差し引かれるのみで、部屋の年月に応じた自然な劣化の修繕費は貸主負担となり、借主は原則として敷金の返還を受けることができます。
賃貸物件に関するルールは、今まで判例をもとに運用していましたが、改正で明文化されています。
 
⑤ 約款
約款は例えばネット取引の利用規約など不特定多数の人との契約を効率的に行うために使用される定型の契約条件です。民法にはこれまで、約款に関する記載がなかったため、不透明なルールの状態が続いていましたが、改正により、法的に有効と明記されることになるため、契約内容をよく確認することが重要となります。ただし、買い手が著しく不利益を被る項目は無効となります。
 
 毎日の生活や企業経営に大きな影響が及ぶため、3年程度の周知期間を経て、一部の規定を除き2020年4月1日から施行されます。

出典:日本経済新聞2017年5月27日13版
朝日新聞 教えて!民法改正1~7回

渋谷事務所 森 亜希子


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