論語

現代はストレス社会と言われ、社会に蔓延するストレスが現代社会を特徴づけています。人間関係に不満や悩みを抱え、時間に追われ、ゆったりと生活することができず、日々疲れを感じている現代人は多いのではないでしょうか。そんな方は、人間関係によく効く、生きるための知恵の宝庫とも言われている『論語』を繙いてみてはいかがでしょうか。

論語』とは、今からおよそ2,500年前、孔子の死後、その言行を弟子たちがまとめた中国の書物です。
孔子は中国の春秋時代の学者、思想家で、諸国を遍歴し、諸侯(地方の領主)たちに徳の道を説いて回りました。2,500年前の教えでも、現代社会に通じる名言が数多く、「温故知新」「巧言令色」など『論語』に由来する四字熟語もあり、日本文化に大きな影響を与えました。
その中より、有名な孔子の言葉をご紹介します。

  子貢問うて曰はく「一言にして以て終身之を行ふべき者有りや」
  子曰はく「其れ恕か。己の欲せざる所は、人に施すこと勿かれ」

      訳:弟子の子貢が質問して言うには「生涯実践すべき一言はなにか。」
        孔子が答えて言うには「それは恕だ。自分がそうしてほしくないことは、人に対してもやってはいけない。」

孔子は座右の銘として、心にきざむべき一文字として「恕(じょ)」をあげました。
「恕」とは、人のことを自分のことのように思うこと、つまり、人の身になって考えるという他者への思いやりのことです。訓読みでは「ゆるす」とも読みます。自分がされて嫌だと思うことは、相手に対しても決してやってはいけないという教えです。自分が嫌なことは、大抵他の人も嫌なものです。他者に対する思いやりの気持ちをもって、自分勝手な行動を控えることが、より良い人間関係の第一歩となります。

この社会の中で、人はひとりで生きていくことはできず、人間関係は欠かすことのできないつながりです。そこに大切なのは、相手や周りの人たちに対する、思いやりの気持ちです。一人一人の思いやりの気持ちを広げていけば、心やさしい社会を築くことができるでしょう。
 
イライラした時や、心が落ち着かない時には、ひと呼吸おいて、『論語』を読んでみてはいかがでしょうか。解決のヒントとなる言葉が見つかるかもしれません。

出典:国土社「心をみがくことば 論語」八木 章好著

川崎事務所 大島裕美