”借りてきた猫”の巻

阿川佐和子さんは、「聞く力」を出版して間もなく、作家の吉永みち子さんから次のように言われたそうです。

「世の中にはコミュニケーション能力を身に着けるための本がたくさん出ているが、自分の意見や気持ちを相手に伝えるための発信力に関するものばかり。阿川さんの『聞く力』は、受信力について書かれています。自分の心を空っぽにしてひたすら受信する。それもまた、コミニュケーション能力の一つですね。」

他人のさりげないことばによって真意が明かされることがままあり、インタビューで大事なことは、「相手の言葉を受信する」ことに尽きると、改めて認識したそうです。反対に、後輩に対し、

  「電話が鳴ったら、ぐずぐずしないで、すぐに出なさいね」
  「そんなことをメールで送ったら失礼でしょう」
  「お客様がいらしたら、すぐにお茶をだしなさい」

等発信することもあるでしょう。
ところが、うまく受信してもらえずちっとも改善しない場合が多いのでは。また「できなかった訳や、わからないって言えなかったんです。何がわからないか、わからなかったから・・・」と、「発信力」不足の後輩が結構あちこちで話題になるようです。

コミュニケーション不足にならないため、注意が叱るにならないために『借りてきた猫』に留意しましょう。

  ・・・感情的にならない → サラリと
  ・・・理由を話す → 自分の考え方を伝える
  ・・・手短に → 過去のことを重ねず、その都度一個づつ
  ・・・キャラクター(性格・人格や容姿)に触れない → 自分のことも考えてから
  ・・・他人と比較しない → みんなが言っている等嫌味な言い回しはしない
  ・・・根に持たない → 他人はそんなに思ってはいない、言われたほうも
  ・・・個別に話す → 人の目を考えよう

昔は、大声で「そんなの自分で考えろ!」と言われて済みましたが、最近は注意が必要なのだろう。借りてきた猫であっても、おとなしくしている理屈はありません。反省しつつ、自分自身で、自分を強く・大きく育て上げなくてはならないでしょう。

阿川さん、食事中に「もう少し根元の部分を握ったほうが、エレガントに見えるよ」と言われたそうです。それ以降、ことあるごとに自分の箸の握り方を再確認するそうです。キーワードは「エレガント」。自分で気付かないことをさりげなく注意してくれる親切に感謝し、素直に受け入れたいものです。

出典:文藝春秋「叱られる力(聞く力2)」阿川 佐和子著

社員税理士 木村勇雄