保育所委託費の弾力運用豆知識~通知を読み解く~ パート2:保育所から本部会計への繰入について

 豆知識第2回目です。
 顧問先の経理の方などとお話をしていて、「保育所の委託費は使途が厳しいと聞いているが、繰越金(前期末支払資金残高)を本部に繰り入れてしまえば、本部の資金になるのだから、そうすれば自由度が広がりますよね。」と言われることが時々あります。つまり、保育所で余った資金はなるべく本部に集めたほうがよいのではないかということを考えているのですね。
 果たしてそれは大丈夫なのでしょうか。
 
前回ご紹介した通知(府子本第228号)では以下のように記されております。
 
(問13)経理等通知の2(1)及び3(2)に関して、当該保育所を設置する「法人本部の運営に要する経費」の対象範囲は、具体的にどこまで認められるのか。
 
(答)前期末支払資金残高を当該保育所を設置する法人本部の運営に要する経費として支出できる対象経費は、当該保育所設置法人の事務費であって、…(中略)「人件費支出」及び「事務費支出」に相当する経費とし、いずれも保育所の運営に関する経費に限り認められるものであること。 (以下省略)
 
 ポイントは2つあります。
 1つは、対象経費が「当該保育所設置法人の事務費」に限定されている点です。
対象経費ということは、支出を前提としていますから、単に本部に資金を集めておく、といった目的では、対象経費がないことになりますので、通知の趣旨には合わないと思われます。
 本部は事業自体を行っていませんから、寄附などがない限りは財源がなく、一方で理事会や法人としての事務作業に係る経費は工面しづらくなります。その補填という意味なのでしょう。
 もう1つは、「保育所の運営に関する経費に限り認められる」点です。
 仮に、保育所以外に特別養護老人ホーム(以下「特養」とします。)も経営している法人(本部)があったとした場合、本部機能としては保育所経営に関する経費も支出しますが、一方で特養に関する経費の支出もあると想定されます。
 すると、「法人の事務費」には保育所と特養の両方に関する経費が含まれていることとなり、このうち保育所に係る部分を抜き出し(実務上は適正割合での按分でしょうか)、それに相当する金額のみが繰入対象になると考えられます。
 つまり、保育所で余った資金を本部で集めておくことはできず、また本部経費としてもその内容に注意が必要であるということですね。
 
コンパッソ税理士法人では、保育所を始めとして数多くの社会福祉法人会計に関する事例を取り扱っております。
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横浜青葉事務所  久保田 良次


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