
人食いバクテリアにご用心
人食いバクテリアの患者数が過去最高になっております。昨年は年間273人であったのに対し、2015年は8月中旬で200人に達しました。地域別にみると東京都の47人が最も多く、大阪府28人、神奈川県23人が次いでおります。
そもそも人食いバクテリアとは何でしょうか。医学用語では溶連菌の一種で「A群溶血性レンサ球菌」といわれ、これに感染発症すると「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」と診断されます。この細菌に感染し発症すると手足の腫れや激しい喉の痛みに始まり、その後急激に手足の細胞が壊死し、最終的には血圧低下や多臓器不全で死に至ることも少なくありません。致死率は30%~60%といわれることからも、その怖さが伺えます。また、進行が非常に早く発症後48時間がリミットといわれます。
人食いバクテリアのネーミングは、感染発症すると皮膚や筋肉が壊死し真っ黒になるため、あたかもバクテリアに食べられたかのような印象を受けるからでしょう。溶連菌は、以前から存在する最近ですが、一説によれば溶連菌が何世代かにわたりインフルエンザウィルスに感染し、毒性を帯びたと考えられており以前中国で大発生しているようです。
この細菌は、インフルエンザウィルスのように人体を介しての感染はありません。おもに傷口から体内に入る経路が多いようです。そのため、予防法としては、傷口をきれいな水で洗う・傷がある場合はプール・温泉・海水浴を避ける等があるようですが、市販の消毒薬は効果があるか否か不明ですので、消毒より洗浄ですね。
また、感染発症後壊死が始まると手足の切断も必要な場合もあるようです。いずれにしても、傷口を清潔に保つという昔からの方法と、傷口が急速にはれた場合にはすぐに医療機関に行くことが重症化を防ぐ最善の方法かと思います。
発症例も少なく、いたずらに恐れる必要はないでしょうが、ご高齢者や幼児など免疫が弱いと思われる方が身近にいたら注意してあげましょう。また、腫れたら医者に、ですね。