
あなたの言葉は相手に伝わっていますか?
文化庁では「国語に関する世論調査」を行っています。これは、平成7年度から毎年実施しているもので、全国16歳以上の男女を対象とし、日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し、国語施策の立案に資するとともに、国民の国語に関する興味・関心を喚起する目的で行われています。
この調査の中で「慣用句等の意味」の調査があり、興味深い結果が出ています。いくつか問題を出してみます。本来の意味はどちらだと思いますか。
1.奇特 例文:彼は奇特な人だ。
(ア)優れて他と違って感心なこと
(イ)奇妙で珍しいこと
答 (ア)
2.確信犯 例文:そんなことをするなんて確信犯だ。
(ア)政治的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人
(イ)悪いことであると分かっていながらなされる行為・犯罪又はその行為を行う人
答 (ア)
3.琴線にふれる
(ア)怒りを買ってしまうこと
(イ)感動や共鳴を与えること
答 (イ)
4.おもむろに
(ア)ゆっくりと
(イ)不意に
答 (ア)
5.枯れ木も山のにぎわい
(ア)つまらないものでも無いよりはまし
(イ)人が集まればにぎやかになる
答 (ア)
6.小春日和
(ア)春先の頃の穏やかで暖かな天気
(イ)初冬の頃の穏やかで暖かな天気
答 (イ)
《年齢別の比較》(問1、2、4)
私が今回お伝えしたいことは、本来の意味を正しく理解しているかどうかではなく、本来の意味とは違う意味で認識している人も多いということです。
お客様や職場での会話で、かみ合わないと感じたり伝わっているのか不安になったりすることがあります。その要因は、意見の相違ではなく言葉の意味の認識の違いであるかもしれません。
例えば「確信犯」は本来の意味を選択している人が全世代で2割程度となっています。自分が本来の意味で使っていても、話し相手には違う意味として認識される可能性がとても高いと言えます。また、「奇特」や「おもむろに」のように世代によって認識が逆転している場合もあります。
このような点を念頭に置いて、言葉の意味の認識が違うかもしれないと感じた場合は別の言い回しをすると相手に伝えたいことが伝わるのではないでしょうか。
会話は相手がいて成り立つものです。相手の伝えたいこと、自分が伝えたいことが伝わり、みなさんの会話が弾むことを願っています。
出典:文化庁「国語に関する世論調査」