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経理担当者向け 在宅勤務の費用 課税or非課税

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府がテレワーク7割実施を要請したこと等から働き方が更に多様化しました。在宅勤務を推進する企業が増えてきましたが、在宅勤務を行うために必要な物品を会社の負担で用意した場合、現物給与として課税を受けるか否か、費用負担等について留意が必要です。

「支給」ではなく、「貸与」した場合には、その物品は会社の資産となるため、基本的には現物給与として課税されることはありません。会社側で台帳を作って管理するなど、「貸与」していることを明らかにしておくと良いでしょう。

以下、課税の必要の有無を参考にして下さい。

1.在宅勤務手当を支給した場合

従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないものを支給した場合は、従業員に対する給与として課税する必要があります。

2.事務用品等(パソコン等)を支給した場合

企業が所有する事務用品等を従業員に「貸与」する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。これに対して、「支給」した場合には、従業員に対する現物給与として課税する必要があります。

3.課税する必要がない、通常必要な費用を精算する方法による場合

①事務用品等の購入
企業が従業員に対して「仮払い」した後、従業員が業務のために使用する事務用品等を購入し、その領収証等を企業に提出してその購入費用を精算する方法。または、従業員が業務のために使用する事務用品等を「立替払い」により購入した後、その購入に係る領収証等を企業に提出してその購入費用を精算する方法の場合は、課税する必要はありません。

②通信費に係る業務使用部分の計算方法
通話料については、通話明細書等によりその金額を企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はありません。業務のための通話を頻繁に行う業務に従事する従業員に対しては、「算式」により算出したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えありません。

「算式」
業務のために使用した基本使用料や通信料=従業員が負担した一ヶ月の基本使用料や通信料等×その従業員の一ヶ月の在宅勤務日数÷該当月の日数×1/2

③電気料金に係る業務使用部分の計算方法
「算式」により算出したものを従業員に支給した場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えありません。

「算式」
業務のために使用した基本料金や電気使用料=従業員が負担した一ヶ月の基本料金や電気使用料×業務のために使用した部屋の床面積÷自宅の床面積×その従業員の一ヶ月の在宅勤務日数÷該当月の日数×1/2

4.食券の支給

例えば、食事補助のための食券を従業員に半額で支給する場合、課税対象となるか。
企業が従業員に食事の支給をする場合に、その従業員から実際に徴収している対価の額がその食事の価格の50%相当額以上であり、かつ、企業の負担額が月額3,500円を超えないときは、その従業員が食事の支給により受ける経済的利益はないものとして取り扱うこととし、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

大手企業を中心に「在宅勤務手当」を支給する動きが広がっています。非課税の「実費支給型」は、企業の経理部門が源泉徴収する際、事務作業の複雑化につながるため、導入する企業は少ないようです。企業としては、在宅勤務に係る費用について、定額で渡切り(精算不要)として給与課税するか、企業が管理を行い、業務使用部分を精算(非課税)するのか、給与課税の有無を確認して下さい。

参考 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

會田明美
川崎事務所(武蔵小杉)

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