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プロ野球の年間シートは開幕日計上が可能!

盛り上がりを見せたペナントレース、日本シリーズ、そしてWBSCプレミア12と、プロ野球は今年もファンを熱くさせてくれました。この熱さを受け、来シーズンは、プロ野球の年間シートを接待用に会社で購入しようか、と考えている経営者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしながら、実際に年間シートを購入した場合、会計上・税務上、いったいどういう取り扱いになるのか、気になるところです。確認してみましょう。

●法人税法上の取り扱い
<勘定科目>
・接待交際費・・・取引先の接待用等に使用する場合
・福利厚生費・・・従業員の福利厚生用に使用する場合
・広告宣伝費・・・広告宣伝用に使用する場合

ただし、福利厚生として使用する際は、注意が必要です。
税務上、福利厚生費とするには金額の妥当性や、全従業員の平等性が論点になってきます。名目上は福利厚生としていても、全従業員に知れ渡っていない、一定の従業員ばかりが使っているような場合は、福利厚生費として認められません。
実態は社長ばかりが使っている、といった場合には、ダブルパンチ(社長使用分が給与として認定され、社長個人で給与所得課税された上、法人では事前届出を伴わない役員賞与となり損金計上できない)となりかねません。

接待用と福利厚生用を併用する場合等は、明確に使用区分が可能であれば、勘定科目を分けることができます。そうでない場合は役員や従業員の全員が野球観戦していることも不明確となるため、全額接待交際費(場合によっては一部を給与や役員賞与)とすることが望ましいです。

広告宣伝とは、自社商品を購入した一般消費者にチケットをプレゼントする旨の広告で、不特定多数の者に宣伝した場合等が該当します。
一方、年間シートの座席には、社名を入れられることがあるため、一見それ自体、広告宣伝費での計上もあるのでは、とも思われますが、これは、不特定多数の者に宣伝効果を発揮するものとは言えず、あくまで専用席であることを称することが目的であるため、宣伝の効果は薄いと考えられ、広告宣伝費には当てはまりません(判例あり)。

<計上時期>
原則として、損金算入の時期は実際に観戦に行った日です。
しかしながら、中途解約ができないため、シーズンが開幕した時点で債務が確定するものと判断し、開幕日に損金計上することも認められています。
開幕日に損金計上する場合で、購入日と開幕日の間で年度を挟むときは前払金として繰り越されることになります。

●消費税法上の取り扱い
<仕入税額控除>
プロ野球の年間シートは、主催者と予約者の間の契約に基づく、シーズン中における野球観戦を目的とした席料であるとともに、野球を観戦させるという役務の提供の対価と考えられますので、課税仕入れとなり、仕入税額控除の対象となります。
なお、シーズン予約者には試合ごとの入場券が交付されますが、この入場券はシーズン予約者であることを証する一種の整理券と考えるのが妥当であり物品切手には該当しません。

<計上時期>
課税仕入れの時期は、現実に役務の提供を受ける日、つまり、観戦をする日ですが、交際費等の算入時期(中途解約はできないものであるから、接待等のあった日として交際費等に直接関連する行為のあった開幕日)に課税仕入れがあったとしても差し支えないとされています。
※法人税法上と同様の取り扱いです。

プロ野球の年間シートをご購入の際は、きちんと性質を理解した上で、取引先や従業員の方々に楽しんでもらい、会社もプロ野球も盛り上げていただけたらと思います。

参照:国税庁HP<https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/16/02.htm

横浜青葉事務所 菊池 潤

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