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災害対策非常用備蓄の経理処理

 東日本大震災から10年が経過し、最近では雨風の被害も増えてきています。そんな中注目を浴びてきているのが、在宅避難です。避難所は本当に困った方が利用し、可能な限り密を避けられ、プライベートが守られる自宅での避難生活ができるよう、各自準備をしておきましょう。東京都も3月5日に「東京備蓄ナビ」を開設しました。各自治体がその地域に合わせて情報を発信しています。まずは興味を持って、是非お調べ下さい。
 ここからが本題の会社での災害対策です。
リモートワーク時は上記の在宅避難となりますが、東日本大震災時のように、会社も社員が帰宅出来ない状態を想定し、災害時の非常用備蓄が必要と考えます。それでは、その会計処理はどうしたらいいでしょうか。
 国税庁のHPにも「非常用食料品の取扱い」が記載されています。
非常用食料品は、備蓄時に事業供用があったものとして、その時の損金の額(消耗品費)に算入して差し支えありません。
理由は・・・

○食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつものであること。
○その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は、減価償却資産(法人税法施行令第13条)又は繰延資産(法人税法施行令第14条)に含まれないこと。
○仮に、当該食品が法人税法施行令第10条第6号((棚卸資産の範囲))に掲げる「消耗品で貯蔵中のもの」であるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められること。
○類似物品として、消火器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること。

ということです。

非常食や飲料以外、個人的なお薦めが、水を流さないで使える簡易トイレの備蓄です。断水時で水洗トイレが使用できない時はもちろんですが、自分のところで水が使えても、その先どこかで管が破損していたりすることを想定し、地域全体のことを考えて、いかに水を流さないか、が過去の震災からの教訓だと聞きました。とても大切なことだと思います。
通常、消耗品は使用するまでは貯蔵品として在庫計上しますが、災害用備蓄品は、備蓄することが目的なので、備蓄開始時に経費算入できます。
社員全員に、消費期限が近いような災害用備蓄品を配布する場合は、福利厚生費で処理も可能ですが、転売ができるものや一部の社員に配布する場合には、現物給与となることも考えられますので、ご注意下さい。
備えあれば憂い無し、忘れたころにやってくる災害に余裕がある今のうちに備蓄を検討してみませんか。

参考:国税庁

川崎事務所
中川 斉

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