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4相続にかかる民法と税法(仏壇や墓石など祭祀に関する権利の承継について)

第4回 祭祀に関する権利の承継について

第4回目は祭祀の取り扱いについて確認します。

目次

祖先を尊崇する特別な用具である祭祀財産は、一般の相続財産とは異なる承継が行われます。祭祀財産とは、「系譜、祭具及び墳墓」などを指します。「系譜」とは家長を中心とした先祖代々の家系図であり、「祭具」とは祭祀の用に供される仏壇・神棚・位牌などで、「墳墓」とは遺体や遺骨を埋葬している墓石や墓碑のことです。
祭祀を承継する者は、被相続人の指定があればその者が、指定がないときはその土地の慣習により、慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めることとなっています。

祭祀(さいし)財産とは

「系譜、祭具及び墳墓」
「系譜」・・・家系図
「祭具」・・・仏壇・神棚・位牌
「墳墓」・・・墓石・墓碑

1.民法上の理解

民法において、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を包括的に承継します。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではありません(民法第896条)。
一方、包括的承継の例外として、祭祀に関する権利の承継があります。系譜、祭具及び墳墓の所有権は、相続人ではなく慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します。(民法第897条)。

2.税法上の理解

相続税においては、墓所霊廟や祭具等は非課税財産とされています(相続税法第12条①二)。これは祖先を尊崇する気持ちを尊重するという理由で、民法と同じように一般の財産とは区別しているのです。
 
相続税の非課税財産となる墓所霊廟には、墓地、墓石及びおたまやのようなもののほか、これらのものの尊厳の維持に要する土地なども含みます(相続税法基本通達12-1)。祭具には、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝の用に供しているものをいいます。ただし、商品、骨とう品又は投資の対象としているものはこれに含まないとされています(相続税法基本通達12-2)。

ときとして、仏壇、仏像等の中には、過度に高価なものや美術品、骨董品としての財産価値を有するのではないかと思うようなものもあります。非課税財産でよいのか判断に迷うようなときは、お気軽にコンパッソ税理士法人にご相談ください。

参考文献等:
国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4108.htm
関根稔、間瀬まゆ子編著「税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解」ぎょうせい

高田馬場事務所 加藤紳一郎

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