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知らないと大損!?売手企業にとってのデューディリジェンス

後継者不在の企業が増えています。そのような環境の中で、自社の株式を第三者に譲渡する中小企業が非常に増加しています。当社のお客様でもM&Aを検討する方が増えてきました。
 しかし、M&Aは通常の中小企業の社長は何度も経験するものではありません。どういったものだろうかとイメージを持っていただくため、今回は中小企業のM&Aにおけるデューディリジェンス(買収監査ともいいます。以下DDと省略します。)についてご説明します。

【M&Aの流れ】

通常のM&Aは下記のように流れで行われます。

DDはかなり後半に行われるものであることがわかります。10の基本合意というのは人でいうと婚約にあたります。基本合意の段階では、「今回のM&Aはこのような条件ですすめていきましょう」という大枠を合意することになります。その合意内容の中に通常は「DDを行うにあたり、売手はそれに協力する」という条件が入ります。

【DDの意義と行う理由】

 DDには法務DD、労務DD、財務DD等、いくつか種類があるのですが、基本的に中小企業のM&Aでは財務DDが中心になります。財務DDとは、名前の通り財務に関する調査をすることになります。買手にとって株式譲渡による会社の引き受けはリスクがあります。資産はもちろんのこと、負債についてもすべて引き受けるためです。引き継ぐ負債は財務諸表に現れているものにとどまらず、財務諸表に現れていない負債についても、株式譲渡後は買手が負担すべきものになります。買手はリスクを最小化するためにDDを行うのです。

【売手企業にとってのDDの負担】

 会社の規模にもよりますが、通常DDは1ヵ月程度で行うことが多いです。買手側に雇われたDD担当者は短い期間で対象会社を詳細に調査するために多くの資料を依頼する必要があり、売手の社長や株主、経理担当者にとって、負担の大きいものになります。
 よく問題になるのが、未払残業代の有無や社会保険の未加入などの問題です。会社が意図的もしくは認識の不足により従業員に残業代を払っていなかったり、社会保険に入っていなかった従業員がいたりする場合、その事実について深く追及されることがあります。
 また、DDの工程の中には、社長等へのマネジメントインタビューがあります。売手の社長はインタビュー時に、資料を確認する中で出てきた疑問点や問題点、直近の経営成績等を質問されます。これが社長にとって非常にストレスになる方もいるようです。
 人間の体と同じで、長くやっている会社ほど、意図したものではないにしても何か問題が出てくることもあります。いわば自分達の粗(アラ)を質問されるため、気持ちのいいものではありません。しかしながら、ここでの質問に対して嘘をついてしまうと、それが後で露見した場合に損害賠償になる可能性もあるので、当然なのですがすべて真実を話す必要があります。

【DDでの発見事項への対処】

 DDにおいて、仮にマイナスな要素が見つかった場合、それは株式譲渡代金から減額するか、その他の条件で売手と買手の間で調整が行われます。いま顕在化していない将来起きる可能性のあるリスクは、起きた場合にどうするか、もしくは起きる可能性を考慮して株式譲渡価格を下げるかして対応します。

【売手企業にとってのDDに対する事前準備】

 では、売手企業はDDにおいて何か事前に準備できるものでしょうか。答えとしてはできます。買手がDDを行う前に売手が自らDDを行う(セラーズDDといいます)ことで、外部から指摘を受ける前に事前に自社のリスクを把握しておきます。そのことで、売手はDDが始まる前に、「当社にはこのようなリスクがあります。対処としてはこのように行っており、今回提示した譲渡価格にはこの分が折り込まれているので、この点に関して価格交渉は受け付けません。」と伝えておけます。後から買手に指摘されるよりも、はるかにDD後の交渉で有利に立てます。

【まとめ】

 売手企業にとってのDDを解説いたしました。まだまだ細かい点はあるのですが、おおまかなイメージをつかんでいただけたら幸いです。

本社(渋谷事務所)
小池良輔

M&Aに関するご相談はグループ企業の株式会社ビズマッチにお寄せください。
株式会社ビズマッチ

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