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社会保険労務士<事務所通信’20/11月>

労基法施行規則等の改正案「届出等の際の押印等の廃止・36 協定届などの様式の見直し」について

行政手続における押印の見直しを受け、「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令
案」のパブリックコメントによる意見募集が、令和2年10 月9日から開始されました(意見募集の締切りは令和2年11 月7日)。
◆改正の趣旨
労働基準法および最低賃金法の規定に基づき、使用者に提出が求められている届出等につ
いて、規制改革実施計画(令和2年7月17 日閣議決定)等において、行政手続における押印の見直しが明記されたことを踏まえ、これら届出等に際し、使用者および労働者の押印、または署名を求めないこととするというものです。
◆規制改革実施計画
令和2年7月17 日に閣議決定された規制改革実施計画のデジタルガバメント分野における新たな取組みとして、「行政手続における書面規制・押印、対面規制の抜本的な見直し」が掲げられ、「各府省は、……原則として全ての見直し対象手続について、恒久的な制度的対応として、年内に、規制改革推進会議が提示する基準に照らして順次、必要な検討を行い、法令、告示、通達等の改正やオンライン化を行う。」ことが明記されました。
◆改正の概要
労働基準法施行規則、事業附属寄宿舎規程、年少者労働基準規則および建設業附属寄
宿舎規程ならびに最低賃金法施行規則において、法令上押印等を求めないこととするとともに、労働基準監督署長等への届出等の際に押印等を求めている省令様式について押印欄を削除します。
押印等を求めている省令様式のうち、36 協定届など、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者の記載のあるものについては、労働組合の記名がされている場合には事業場の労働者の過半数で組織されている旨を、過半数代表者の記名がされている場合には事業場の労働者の過半数を代表している旨および当該過半数代表者が労働基準法施行規則6条の2第1項各号(※)のいずれにも該当する者である旨のチェックボックスを設けることとするほか、所要の改正を行います。
※①法41 条第2号に規定する監督または管理の地位にある者でないこと。②法に規定
する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。
◆いつから施行
令和3年4月1日予定(公布日は令和2年12月中旬予定)となっています。

会社への愛着心・信頼感の高い働き方は、オンライン×オフラインを組み合わせた

◆調査概要
新型コロナウイルスの感染症対策として、テレワークが一気に普及しました。全国各地で新しい働き方が広まっています。そんな折、総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が、会社員を対象に実施した「テレワークに関する意識・実態調査」について発表した内容をまとめています。
※ハイブリッドワークとは、テレワーク(オンライン)と出社(オフライン)を組み合わせた働き方のこと
・調査期間:2020 年9月12 日~13 日
・調査対象:20~60 代の会社員400 名(一般社員210 名、部下のいる管理職190 名)
◆働き方による意識
1 効率的に仕事ができているか
「ほぼ在宅」76.4% 、「ハイブリットワーク」76.9%、「ほぼ出社」72.9%と、ハイブリットワークの人が最も高い。
2 会社に対して愛着・信頼を感じているか
「ほぼ在宅」51%、「ハイブリットワーク」72.3%、「ほぼ出社」60.2%と、ハイブリットワークの人が最も高い。
3 社内の同僚や先輩、上司と円滑なコミュニケーションが取れているか
「ほぼ在宅」58.8% 、「ハイブリットワーク」69.2%、「ほぼ出社」62.7%と、ハイブリットワークの人が最も高い。
4 テレワークをすることによる生産性の変化
在宅勤務者 テレワークをすることにより生産性が上がったと感じる割合:58.4%
■テレワークで、自身の生産性が上がった
理由TOP3
第1位「集中して作業をする時間が取りやすくなった(65.5%)」
第2位「移動の時間が減った(63.2%)」
第3位「自分の裁量で仕事を進められるようになった(43.7%)」
■テレワークで、自身の生産性が下がった
理由TOP3
第1位「社内の同僚や後輩、上司と円滑なコミュニケーションが取りづらい(51.6%)」
第2位「テレワークで働く環境(仕事場)が整っていない(48.4%)」
第3位「仕事を進めるうえでの確認などが非対面なので難しい(33.9%)」
管理職 部下がテレワークをすることによって生産性が上がったと感じる割合:44.1%
■テレワークで、部下の生産性が上がった
理由TOP3
第1位「集中して作業をする時間が取りやすくなった(62.3%)」
第2位「移動の時間が減った(49.1%)」
第3位「部下の裁量で仕事を進められるようになった(43.4%)」
■テレワークで、部下の生産性が下がった
理由TOP3
第1 位「社内の同僚や後輩、上司と円滑なコミュニケーションが取りづらい(52.2%)」
第2位「テレワークで働く環境(仕事場)が整っていない(41.8%)」
第3位「仕事を進めるうえでの確認などが非対面なので難しい(40.3%)」
テレワークにより、パフォーマンスが上がったと感じる社員が58.4%いるのに対し、仕事ぶりを感心しない管理職が55.8%いるという結果が出ています。
総合的には、ハイブリット型での働き方が理想的という結果になっています。職種や業態によって異なりますが、これからニューノーマルといわれる働き方が中心になってくるのは間違いありません。会社にとっても社員にとっても最適な働き方の模索が続くことになるでしょう。
【パーソルプロセス&テクノロジー(株)「テレワークに関する意識・実態調査」】
https://www.persolpt.co.jp/news/2020/09/29/4623/3

コロナ禍で増える自転車通勤……企業に義務付けられる対応を改めて確認しておきましょう

◆コロナ禍で自転車通勤が増えている
コロナ禍の影響で、電車などの公共交通機関の利用を避ける観点から、自転車通勤が増えています。政府も、「環境問題や災害対応から推進する」と後押しする構えです。
従来、自転車通勤は、事故等への懸念から禁止する企業も多くありました。実際、2019 年の統計によると、全国で発生している自転車関連事故数は年間8万件以上。一日平均200 件以上の事故が起きている計算です。自転車通勤の要請が高まっている現状と、事故の多さを踏まえて、企業としては、改めて自転車通勤について検討し、対策を講じる必要があります。
◆条例への目配りも必要
自転車が関わる事故が多発していることを背景に、2020 年4月、東京都は条例で、都民に自転車保険への加入を義務付けました。こうした動きは都に限ったものではなく、条例による保険の加入義務化は2015 年10 月に兵庫県で初めて導入されて以降広がっており、現在、15 都府県・8政令都市が同趣旨の義務付けを行っています。加えて、11 道県・2政令都市が努力義務としています。
これらの条例では、自転車利用者に損害保険への加入を義務付けるだけでなく、事業者の責務として、自転車の業務使用時の損害保険への加入、従業員安全教育などを定めています。また、たとえば東京都では、事業者に対し、自転車通勤をする従業者に対する自転車損害賠償保険等への加入の有無の確認、確認ができないときの自転車損害賠償保険等への加入に関する情報提供も努力義務化されるなど、自転車利用を許可するに際しては条例への目配りも欠かすことができません。これらの内容を盛り込んだ自転車通勤規程を定めるなどして、管理を行うことが望まれます。
◆保険加入の確認時の注意点
なお、自転車事故に適用可能な保険として、個人賠償責任保険があり、自動車保険・火災保険・傷害保険などに特約として付帯することができますが、これは日常生活に起因する事故が対象であり、業務中の事故には適用がないことに注意が必要です。業務使用時の事故による賠償責任をカバーするには、企業賠償責任保険(施設賠償責任保険)や自転車の車体に付帯したTSマーク付帯保険に加入する必要がありますので、この点も確認しておきましょう。

当事務所よりひと言

今月は「行政手続きにおける押印廃止」「テレワークに関する調査」「コロナ禍による自転車通勤の増加」をピックアップ致しました。人事労務関係の手続きにおきましても、形式だけで意味合いが曖昧な押印欄が設けられている申請書類は多く存在しています。社労士としてこうした申請書類の作成と申請を代理で行わせて頂くのですが、中には押印をもらうためだけにクライアント様を訪問しているようなことも・・・(電子申請手続きが進んだこととコロナ禍によって格段に減ってはいますが)。移動時間がもったいないですが、なによりクライアント様に貴重な時間を割いて頂くことになってしまうため、時間の使い方としてとてももったいないと感じていました。
ぜひとも押印の見直しについては前向きに進んでいって欲しいと思います。
また自転車通勤に関連することとしまして、「会社には電車通勤であると申告しているのにこっそり自転車で通勤している人が通勤途上で事故に遭ったのですが、通勤労災は使えますか?」というご質問をよく頂きますが、この場合でも基本的には特に問題なく通勤災害として認められます。
労災保険上の通勤は住居と働く場所の間を、「合理的な経路および方法で往復すること」を指していますので、会社への申告とは異なる方法で通勤していたとしても、合理的な方法でさえあれば通常の通勤として認められるからです。ご参考になれば幸いです。(今月号の担当:西山)

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