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ヤフーによるZOZO買収から考える中小企業のM&A

9月12日(木)午前中にソフトバンク傘下のヤフー㈱(10月にZホールディングスへ変更)は
アパレル通販サイト大手の「ゾゾタウン」を運営する㈱ZOZOに対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表しました。
ZOZO側もこのTOBに賛同を表明し、ZOZO創業者で持株比率36%弱の筆頭株主である前澤友作氏(43歳)もTOBに応募する予定です。

 

前2019/3期の連結決算ベースで見て、年商9,547億円(税引後利益778億円/純資産9,105億円)のヤフーが、
年商1,184億円(税引後利益159億円/純資産226億円)のZOZOを買収する、大が小を傘下に収める通常のM&Aです。

 

今回大きなニュースになった理由は、ZOZO創業者の前澤氏が有名芸能人との交際や宇宙旅行(2023年の月渡航計画)の表明等で
これまで何かとマスコミに話題を振り撒いてきたからです。
欧米・中国等の大企業とのグローバル競争、人口減少と所得の伸び悩みに伴う内需縮小にさらされている国内のほとんどの業界に
共通する経営環境の中では何の違和感もない「ありふれた」M&Aとも言えます。

 

ヤフーのTOBは総額4,000億円でZOZO株式の過半数50.1%の取得を目標としますが、
実際に買収するTOBは10月上旬(※ヤフーの9/27(金)付けIRによると、TOBは9/30(月)より開始する旨の発表がありました。)の開始を目指しています。
現時点での買い付け価格は1株当り2,620円で発表前日11日の終値2,166円より21%程高い水準です。

 

今回のM&Aは両社の共同記者会見で発表された通り、
買い手のヤフーにとってはZOZOを取り込むことでEコマース業界でトップに立つ見込みが立ち、
売り手側のZOZOにとってはヤフーの傘下に入ることで成長の加速が期待できるという、
お互いの会社および顧客にとってシナジー効果が期待できるとの経済合理性は満たしています。

 

しかし一方では、報道されている通り、前澤氏は個人保有するZOZO株式を担保に巨額の借入を行って、
絵画等の資産運用を行っていましたが、業績伸び悩みによる株価低迷で追加担保や返済不能のリスクに直面したため、
前澤氏が以前から交友のあったソフトバンク創業者の孫正義氏(62歳)を頼り助けてもらったとの見方もあります。

 

中小企業あるいは個人事業主の皆様にとり、大手企業同士のM&Aは別世界の話しだと思う方が多いと思いますが、
後継者不足による「大廃業時代の到来」(2017年10月の日経新聞1面)と言われている現在、
中小企業にとり「事業承継」は最も大きな課題となっています。
まず最初に検討すべき親族内承継という選択肢を採れない場合に、他社への自社株売却という「売りのM&A」は今や当然の選択肢です。
「会社乗っ取り」という悪しき偏見がなくなった現在は中小企業同士のM&Aは全国で活発に行われています。

 

経営の根幹をなす事業承継やM&Aの問題は、検討を開始すること自体、「検討しよう」という経営者ご自身の決断が不可欠です。
ましてや事業承継やM&Aを具体的に検討する場合には、民法・税法等の専門知識や実務スキルが必要になります。
うかつに自社の問題を相談できない孤独な経営者にとって「安心できる相談相手」となる専門家を探し、事前に必ず相談することをお勧めします。
セカンド・オピニオンでも構いませんので、何かご相談がございましたら、コンパッソ税理士法人までお気軽にお問い合せ下さい。

 

 

参考:2019年9月12日付けヤフー㈱及び㈱ZOZOの情報開示資料<両社のHPより>

渋谷事務所 多田恵一

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